仕事がつまらない。なんだかやる気が起きない。そんな事を感じながら毎日満員電車に乗り込む。そんな毎日に嫌気が差してきたならば、それは自分の動機を考え直す時期が来たのかもしれません。
人間が行動する原因には「動機」があります。
自分の中に存在するその「動機」を知る事で、人生の道とも言える選択の基準が見えてきます。基準がしっかりと見つけられれば、後はその方向に向けて努力するだけです。
動機があるから努力も辛くない。積極的になれるから成長も早い。
今日はそんな加速材のような「動機付け」に関するお話。
二つの動機
動機には「外発的動機」と「内発的動機」の2種類あります。
まずはそれぞれの特徴を比較してみましょう。
外発的動機とは?
お金や物、周囲の評価など、外部刺激を求める欲求からくる動機。
- マイホームが欲しい
- 昇格・昇給したい
- 彼女が欲しい
- 周囲から尊敬されたい
上記のような動機が外発的動機にあたります。
内発的動機とは?
たとえお金などの報酬が無くともやりたいと思える動機。
- やりがいある仕事がしたい
- 人の役に立ちたい
- この仲間と一緒に頑張りたい
- 成長を遂げたい
- 楽しみたい
上記のような自分の内から湧き上がってくる動機。
今回は内発的動機についてのお話です。
外発的動機に関しては
『成果に繋がるインセンティブ【動機を増進させる報酬設定】』で説明をしているので興味のある方は確認してみてください。
内発的動機付けの効果
内発的動機は自分の内から湧いてくる動機なだけあり、様々な効果が期待されています。その効果故に、マネジメントの世界では如何に内発的動機を起こさせるかを目標に掲げる事もあるくらいです。
具体的な効果
苦痛の軽減
内発的動機は自信の興味・関心・好奇心などが元となる動機です。
興味ある事へのワクワク感、好奇心からくる期待感などが『ドーパミン』の分泌を促します。
また、自身の利益よりも他者への貢献が優先される為、充足感が得られやすく、こちらも『ドーパミン』の分泌を促す効果があります。
プリンストン大学の研究によると、この『ドーパミン』には痛みを和らげる効果があり、例えば人助けをした際に、体感する肉体的苦痛が緩和されたとの報告があります。
仕事では様々な苦痛が襲ってきますが、内発的動機付けを行えている場合、他の人よりも苦痛を感じる度合いが少なくなります。
やる気が上がる
前述の通り、内発的動機から来る行動や思考は『ドーパミン』の分泌を促します。これは『やる気ホルモン』とも呼ばれ「何かするぞ!」と行動を促進する効果が生まれるホルモンです。
脳の報酬系に作用し、モチベーションを高め、努力や行動へと導く。
2016年のレビュー論文などでは『ドーパミン』が少ない人程、努力量が少なくなり、ものに対する興味も減少傾向にあったとか。
『ドーパミン』の効果は他にもあるので後日記事にしたいと思います。
以上のように、内発的動機付けにより興味や努力に対する意欲が増し、モチベーションを高く維持する事で行動に結びつく効果(やる気アップ)が期待できます。
創造力(クリエイティビティ)が上がる
「言われた事しかやらない」
一度は聞いた事のあるフレーズではないでしょうか。これは「外発的動機」に突き動かされて仕事をしている人が陥りがちな状態です。
その逆で「内発的動機」を持って仕事をする事は「自律性」を養うとされています。考えてみれば当然の事で、興味がある事には誰でも積極的に関わり、自ら考えようとします。
内発的動機付けに従って物事に当たっている人は、自然と積極的になり、常にその事を頭に入れている状態で日々を過ごす事が出来ます。その結果、新しいアイデアが浮かんだり、成長のスピードが格段に上昇するのです。
単純に楽しい
誰でも興味のある事、好奇心をくすぐられる事は楽しいものです。
自身の「内発的動機」を見つける事は単純に人生を楽しむ事に繋がります。
内発的動機付けの育て方
これまで内発的動機の効果についてお話ししました。
では、次にどうすれば「内発的動機」が見つけられ、育てる事が出来るのかについてです。
進捗管理
内発的動機は自律性と深い関係を持っています。人間は誰しも赤ん坊の頃から「体を自由に動かしたい」「言語を自在に発せられるようになりたい」といったような自己をコントロールしたいという自律心を持っている生き物です。
いつしか忘れてしまったその感覚。思い出す為の要素があります。
- 有能感
- 成長している感覚
- 達成感
これらの感覚を再び取り戻すには「成功体験」と「進んでいる感」が重要です。
具体的な方策としては、小さな目標を設定し着実にクリアし続ける事。人助けを通じて自分が他人の役に立っているという感覚。
目標のクリアは自尊心(自信)の向上に繋がります。
また、人を助けるという行為は有能感や達成感を感じられ、精神の安定にも一役買ってくれます。
他者への貢献
前述の通り、人を助ける事は内発的動機と深い関連を持ちます。
人助けを通じて自信や達成感、幸福を感じる事でモチベーションが維持される。とても素敵な人間の本質です。
これは、やる気ホルモンと言われる『ドーパミン』が分泌される事にも起因します。これも前述の例と同様です。
しかし、注意点として人助けは確かに幸福度を高めてくれますが、度を越えたギブは脳機能の低下や自分を見失う事態に繋がります。
その為、適切に人助けを続ける為にも基準を持つことが大切です。
- 自分を犠牲にしない
- 助ける時は集中的に
- 年間100時間(週2時間)
- 自分にとって意義のある人助け
他者への親切は幸福度を高める効果も認められています。
正しい人助けは豊かな人生作りにも大切な要素です。今度詳しく記事にしてみます。
興味・関心の拡大(知る、行く、やる)
人は知らない事に興味関心を抱けません。新しく内発的動機付けを探すには新しい事を知る必要があります。
- 本を読む
- 行ったことのない場所へ行く
- 初めての体験をする
- やった事のない事をする
積極的に様々な事に関わる中で自分の中で大事な事に気付く事が出来ます。また、人生を変えたいと思った時に新しい事への挑戦は必須条件です。
その辺りはコンフォートゾーンの話と一緒に後日書くこととします。
まとめ
まずは自分を知る事。
生き方は自分で選べます。選ぶための基準に気付いていないだけです。
見方を変える事で今の職業への内発的動機が見つかる、もしくは新しい道が出てくる。どちらにしても自身の内発的動機を知る事は人生におけるメリットと言えます。
私は自分の成長に一番「内発的動機」を感じています。
成長を感じる仕事などの体験が私を突き動かしてくれます。
これが見つかっているのといないのとでは人生の質が変わってくる。
あれが欲しいこれが欲しいという欲求ではなく、こんな事がしたい、やってみたいと仕事がやりたい行動に変わっていきます。
是非自分の内発的動機を見つけ、人生をより良いものへと変化させてみてください。