家にいる時間の長い今年のゴールデンウィーク。この期間に読書を始めようと思う人も多いのではないでしょうか。
様々な知識や先人達の経験を得られる読書。しかし、なかなか読み進められず苦手意識を持つ方も多いようです。
私自身、現在では年150冊以上を読むようになりましたが、最初から読書の習慣を身に付けていた訳ではありません。学生時代は年10冊程度が精々といったところで、そのほとんどがライトノベルなどの読みやすい物でした。
では、そんな普通の学生だった私がどのように読書習慣を身に付けたのか。その極意は読書の仕方。
今回はそんな読書駆け出しの時期に私が学び、実践してきた読書力のお話。
最初から理解しようと思わない
多くの人が挫折する理由の多くが「難しい」「自分には理解できない」といった苦手意識です。この苦手意識。一度持ってしまうと中々手放す事の出来ない曲者です。
苦手意識の原因は色々ですが、一番多いのは書いてある内容を理解出来ないという自己嫌悪ではないでしょうか。
真面目な人程、書いてある内容を懸命に理解しようとして時間と脳力を使ってしまいます。最初のうちはそれでも読み進められるのですが、時間の経過や途中で何か他のタスクが入ってきた時に、続かなくなってしまうのです。
そんな時意識して欲しいのが『最初から理解しようと思わない』事です。
理解するよりも読む事それ自体に集中する。文章を楽しむと言っても良いかもしれません。
一見読書の意味がないように聞こえるかもしれませんが、これは『素読』というれっきとした勉強法。本来は音読をするモノですが、ここでは頭の中での音読を指してお話しします。
知識というのは定着して、自分のモノとなるまでに、時間の経過や他の情報との繋がりを必要とするものです。素読はその点で優れた勉強法で、頭の中に一度情報を入れる事で、例え意識的に覚えていなくとも確実に自分の経験値として蓄積されている。そんな勉強法です。
素読については「能力不要の知識受け入れ法『素読』」で解説してますので気になった方はこちらもチェックしてみてください。
後述する速読も素読の要素を含みます。まずは読んでみる。文章を楽しむ。そんな意識を持って本を読んでみる。その中で、「お、これは」という内容に出会った時、熟読するステージに移ればいいのです。
全ての本を熟読しなくて良い
優先順位と3ステップ
知識を手軽に得られる読書ですが、文章を読むという行為は慣れてもなかなか時間を取られるものです。そんな中で「自分に合った本」や「今必要な事が書かれた本」を探し出す事は非常に重要。
でも、どの本がその該当する書籍となるのか、読んでみなくては分からない。人の評価を参考にするなどの手法もありますが、3つのステップを踏み、優先順位を付ける事でも効率良く読書を進める事が出来ます。
読書の3ステップ
まず本を読む時は3つのステップを意識します。
- 速読
- 通読
- 熟読
「役立つかも・面白いかも」といった目的を達せられるかまだ分からない本を読む時は第1ステップの速読を行います。
速読をしてみて「これは」と思ったものや、始めから役立つと分かっている本は第2ステップの通読へ。
最後に、通読をしてみてこの本は是非とも覚えたいと思えば熟読をするといった流れです。
それでは、それぞれ解説していきます。
1stステップ【速読】
言葉自体は聞いた事がある人も多いのではないでしょうか。知識の宝庫である本を速く読める。とても魅力的ですが、3つのステップの中では一番記憶の定着率が低いです。
それでも前述の素読の話からも分かるように、一度頭に入れる事で自身の中に気付かなくとも確実に蓄積される。その上で内容を覗き見て、第2ステップへと進むかどうかを判断する作業。それが速読です。
知識のシャワーをサラッと浴びるかのように、試し読みを行い、その内容を通り抜けて確かめるイメージと捉えると分かりやすいかもしれなせん。
やり方ですが、
まずは目次の熟読です。目次だけはどの本でもしっかりと読み、この時点で大まかな内容の流れや、その本を読んで得たい知識などを想像して、アタリを付けておきましょう。
それが終わったら内容の試し読みです。意味の理解は後回しに、速度にモノを言わせてざっくり読みます。最初は内容が全く入ってこないかもしれませんので、その場合は速度を調整したり、何度かペラペラと読み返してみて調整してください。
慣れてくると速読だけである程度の内容が理解できるようになります。
ここで、第2ステップに進める本、速読だけで済ませる本をより分けます。
必要な情報や、自分に刺さる内容があれば速読であっても「おっ」となる瞬間が必ずある筈です。世に出ている素晴らしい書籍の中でも、その感覚がないモノは今は時期ではないと諦めて優先順位を付けていきましょう。
2ndステップ【通読】
速読で光った本や、始めから読みたいと思って手に取った本は第2ステップに進みます。第2ステップは最初から最後まで一読する、いわゆる普通の読書です。
自分の心地良いスピードで文字を追い、脳内で読み上げていきます。この作業を行うと、大まかな内容は頭に入ります。読書の醍醐味でもあり、速読で選別して短時間で素敵な書籍と出会った分、楽しい時間が増えます。
通読を経て、この本は一生物だと思ったら初めて第3ステップの熟読に入っていきます。いわゆる「お気に入り」や「人生を変えた本」の仲間入りです。
3rdステップ【熟読】
このステップに入る本は既に「自分に必要な知識が得られる」もしくは「何度でも読みたい」といった本です。実際にこのステップに進む本はごく少数。出会えた時はその幸運を喜び、気の済むまで読み漁りましょう。
具体的には必要な情報をインプットしていく作業です。今までの読む作業にプラスしてノートに内容や気付いた事を記録しながら読んだり、本に書き込みや付箋を貼ったりして徹底的に本の内容を自分の脳へと叩きこんでいきます。
人はそれぞれの価値観、立場、経験を持っています。どの本がその人に必要か、その人に合うかはその人にしか分かりません。優先順位を付けてたくさんの書籍に触れる事で、自分に合った本と出合える確率がぐっと高まります。
当然、自分に合った本の存在は読書という行動を好きになる大きな原動力となる。だからこそ3つのステップと優先順位という考え方をおすすめします。
読書習慣の極意3か条
良い本に出合ったなら、次は読み切らなくてはいけません。なかなかページが進まない。せっかくの出会いを活かす為にも、読書のモチベーションを維持する事はとても大切。
次に、最後まで読み切り、読書を習慣とする極意をお伝えします。
【極意1】読書の目的を明確に
本を読む前に。速読でも少し触れたように、目的を明確化します。
その本を読むのは、楽しむ為なのか、知識を得る為なのか、その本からどんな知識を得たいのか。
何の為にその本を読むのかを明確にする事で読書に対するモチベーションを保つ事が出来ます。その為にも、目次の読み込みはとても大切です。
同時に、しおりの活用も効果的でおすすめです。書き込めるしおりを使ったり、付箋で代用して、そこにその本を読む目的を記入しておく。
そうする事で開く度、閉じる度に確認がとれるので、最後まで目的を見失わずに読む事が出来ます。
【極意2】進捗管理
本を読む中で、進捗の見える化は非常に重要です。
本を一冊読み切った時の達成感。誰もが経験しているあの感覚が近づいている。その事は、本を最後まで読み切る動機としてかなり強力です。
ここでまたもや付箋の出番。本に付ける付箋は2つ用意して下さい。読み進めた場所で付箋を貼るのですが、2回目以降読んだ時には前回の付箋は取っておく。
付箋を使い、進捗を見える化する事で「今回はこれだけ読めた」という感覚を得る事が出来、自分のやる気を保つ事が出来るのです。
他にも読書以外にも使える進捗管理術はいくつもあります。今後記事にしていこうと思います。
【極意3】合わなければ途中で辞めて良い
最後の極意は読んでの通りです(笑)
速読で選別を行っていても、あるいは速読の途中で、残念ながら合わないなと感じる書籍との出会いも必ずあります。
そんな時、読み切らなければいけないといった使命感に駆られてしまうと、せっかくの読書が楽しめなくなってしまいます。
自分で合わないと思ったのなら、途中で読むのを辞めるのも一つの決断です。後日、また読みたくなった時は読めば良いのです。
まとめ
読書は知識や経験を得られる素晴らしいツールです。そして何より、本を読むという事は楽しい事です。
そんな素晴らしい読書習慣を身に付けて、人生を楽しく、より良いモノへと変えていく、そんな人が増えたら嬉しいです。
参考書籍
読書全般に関する知識の集大成。第3章では本記事には記載していない『速読』の技法が紹介されています。また後半の章では読書をどう勉強に活かすか具体的な方法が記されている為、読書を通して学びを増やしたい方におすすめです