こんにちは。絵空です。
今回のテーマはコミュニケーション。苦手な人、多いと思います。その難しさを作り出している要因の一つが、何をどうしたら良くなるのかが、よく分からないという面ではないでしょうか。
一生懸命、会話のコツを練習してみても、いざ本番になると話に入る事が出来ずにいる。身振り手振りを練習してみても、結局続かずに最後は端っこの方で愛想笑いを浮かべている。
コミュニケーションや会話術といった書籍やセミナーは世に溢れていますが、学んでも前に進んだ気がしない。そんな悩みが、コミュニケーションが苦手な人にはありがちです。
では、それはどうしてでしょうか。
今回の記事ではその原因を「対人不安」という切り口からお伝えしています。
実は私、超がつく程人見知りです。上記の例、何を隠そう昔の私。しかし、今ではそれを口にすると「嘘だぁ、見えない笑」みたいに言われるようになりました。
コミュニケーションの苦手な人の最初の難関が『話しかけられない・話に入っていけない』という点。得てして声を掛けるのに不安を覚えます。
反対に、コミュ力が高いと言われる人が持っている特徴の一つが、対話における不安の処理が上手い事。外交的で、会話が上手い人は対話が失敗しても立ち直る余裕を持っています。その為、会話を始めたり、会話に入っていくのに抵抗を感じない。
ならば、その違っている部分を身につける事が出来たなら、不安に苛まれる事なく会話を、コミュニケーションを楽しむ事が出来るのではないか。当時の私が思ったのはその部分。今回はそんなコミュニケーションの不安を払拭して、外交的な人の仲間入りをしようというお話です。
対人不安の正体
まずは、不安の正体を掴みましょう。相手が何か分からないで戦うのは中々骨が折れるモノです。コミュニケーションが苦手な人の抱える大まかな理由が下記です。
- 自分が受け入れられるか不安
- 空気を読めずに躊躇する
- 会話中に感情的になってしまう
- 他人の気持ちが分からない
- 何を話せばいいか分からない
- 話しに入る勇気が湧かない
自分が受け入れられるか不安
まず第一に、自分に自信がない事が原因の場合です。こういう人は中々会話に入ってこないばかりか、一度話し始めると自分の事を卑屈に語ってしまい、回りの空気を凍らせる事もしばしば。
コミュニケーションを取る上で、自信がある事は(程度の問題はあれど)プラスに働く要素です。自信満々に語る人の話は、聞きやすいですし、楽しい雰囲気になりやすい要素と言えます。
空気を読めずに躊躇する
コミュニケーションが苦手な人は多く、空気を読もうと必死です。
こんな事を言ったら、嫌な思いをさせないか、間違えてはいないか、批判になったらどうしよう等の、周囲に対する気遣いから、どんどん話に入っていけなくなっていく特徴を持っています。
対してコミュ力の高い人を観察した研究では、意外にもいわゆる「空気を読んでいる」人は少ない事が分かっています。確かに、もしコミュ力が空気を読む力であれば、かつての私のように会話に不安を感じる人が居る中で、楽しくおしゃべりなんて出来ません。ある意味での気にしない技術というのが大切になってくるのです。
会話中に感情的になってしまう
次に会話中に不快感を感じやすく、感情的になってしまう事が上げられます。こういった人は、会話の中ですぐに感情が高まってしまい、怒って声を荒げたり、些細な事でも悲しみに目を伏せたり、感情のコントロールが困難である場合が多いです。
感情を持つ事は人として当然の能力です。それ自体を恥じる必要は全くありません。ですが、必要な時に感情を制御できる事は、一気に対人関係を改善する、特効薬となり得ます。
他人の気持ちが分からない
ここからは技術的な側面にも入っていきます。他者の気持ちが理解出来ず、嫌われているのではないか、怒っているのではないか。相手の動作からそういった感情を予測してしまい、萎縮してしまう傾向です。
人が他人の所作からその考えを予測出来る可能性は低いです。ある実験によると、嘘を見抜くプロがその動作や表情から嘘を見抜ける確率は54%前後という結果が出ています。プロでない一般の方が挑戦すればコイン投げの方が当たるという結果となるでしょう。
話し好きな人はすぐに「大丈夫?」「どうしたの?」などと聞いてくる傾向があります。無意識に人の感情が予測出来ない事を理解しているのかもしれません。
何を話せばいいか分からない
多くの人は、会話の内容に困っています。私自身もかつては話のネタを求めて、ニュースや新聞を必死に読んでいた時期がありました。
確かに、コミュ力の高い人は話題作りが上手いです。しかし、こちらは数多くの研究から、すでに後から身につける事が可能だと分かっています。会話内容は才能を努力でカバー出来るのです。
話しに入る勇気が湧かない
こちらは自信とも相関しますが、中々話に入る踏ん切りがつかない事があります。いざ、社交の場に出てみたものの、また次回にしようかなと、直前で面倒になり、中止してしまうパターンです。
こちらは意思決定が弱い事が上げられます。社交の場で周囲を巻き込む人は自分から話し掛ける人が多いです。待ちの姿勢ではなく、自分から動き出す程の意思決定。それも重要な要素の一つなのです。
不安解消!第一ステップ
では、これらの問題を一体どのように克服すれば良いのでしょう。
米国で注目されている対人関係能力育成・SEL(social and emotional learning)。こちらを参考に、まず対人不安を解消する第一ステップを見ていきましょう。SELで、対人関係において必要とされる能力は下記となります。
- 自己理解 :自分を理解し、認める能力
- セルフマネジメント:必要に応じて自分を律する能力
- 他者理解 :他者の傾向を理解する能力
- 対人スキル :対話法などのコミュニケーション技術
- 意思決定能力 :自分の意思・責任で決定し、実行する能力
既に述べた通り、対人不安を抱える人が持つ傾向はある程度分かっています。それらを解決する為に、上記の能力を鍛えていくのが有効だとSELでは考えられているのです。
【SEL式】対人不安対策
では実際に、それらの能力を鍛えるには、どのようにしたら良いのでしょう。こちらはSELで実際に使われているカリキュラムを中心に、私自身も行っている訓練法をご紹介します。
マインドフルネス
瞑想などを通じて、自分自身が”今何を”感じているかを観察する事。
自分自身を自覚する。その為の能力を鍛える訓練です。感情を自分で把握して、コントロールする力が向上したり、今行っている作業に集中する状態を、意図的に作り出す力を鍛えられます。
瞑想については「人生の無駄をゼロにする”瞑想”超入門」で触れておりますので、実践したい方はご確認ください。
不安の見える化
不安対策については、単純に紙に書き出すだけでも効果がある事が分かっています。自分が感じている不安を書き出し、客観的に見つめ直す手法です。
理由を付け加える、点数をつける、破って捨てるなど、追加作業を行う事でも不安解消効果があります。私達の頭の中は自身が思っているよりも抽象的です。それを言語化する事で、擬似的にコントロール下に置き、その結果見えない筈の心のコントロールにも効いていきます。
感情の具体化
感情の具体化と聞くと、見える化と似たような印象を受けますが、これは自分の感情を細かく分類する工程です。
例えば『怒り』という感情が湧いてきた時、
これはどの程度の怒りなのか、どんなモノと結びついた感情なのか。
「激怒」なのか「ムッとした」のか、「悲憤」なのか「顔が赤くなる程」なのか等細かく描写をする訓練です。
先程も述べましたが、人間の脳内は抽象的です。時に大した事ではないにも関わらず分類が曖昧になる事があり、その事がコミュニケーションの弊害となる場合があるのです。実際に、『ラベリング』といった技術で、感情の語彙を増やす事でコミュニケーション能力が上がる研究もあります。
対話の実践練習
実践と聞くと急にハードルが高くなりがちですが、最初からそんなに構える事はありません。実際の授業では生徒同士でのディスカッションなどを行うようですが、私達は授業を受ける必要もないです。
対話での不安の一番大きな要因は『無視』や『気まずさ』ではないでしょうか。
そこで、それが出来ない人を相手に練習を始めてみれば良いのです。コンビニのレジで「ありがとう」と言う、アパレルショップで「これ似合っていますか」と聞いてみるなど、サービスに溢れた現代では練習場所に欠く事はありません。
慣れてきたら、列に並んでいる人に「混んでますね」等、話し掛ける難易度を少しずつ上げるだけで、不思議なくらいに人と話すハードルは下がっていきます。
好奇心
こちらは話の内容を探す際に有効です。
何も、毎回その人に合わせた話題を探す必要はありません。人が日常会話で話す内容は、実はそんなに多岐に渡らないのです。
世にあふれる「井戸に立て掛けし衣食住」等のフレームワークや、共通点、相違点などを中心に会話を行えば十分です。相手や世の中の出来事に、あなたなりの好奇心を持っていれば、その難易度は実はそんなに高くないのです。
人は、知らない事を話されている時が一番退屈だと感じる生き物です。誰しもが知る事柄や出来事、相手の知っている事を中心に好奇心を持って引き出す事で、自然と話は広がっていくでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
コミュニケーションが苦手、その意識は一度持ってしまうと中々抜け出せないと思いがちです。しかし、その原因が不安に有るのならば、その不安への対策を実施していく事で、必ず克服する事が出来ます。
一説によると人間関係は人生の幸福度の60%を占めるそうです。ご自身の人生を豊かにする為、対人関係を楽しめる人が増える事を願っております。